稲岡邦彌編著
執筆:相原穣、原田正夫、堀内宏公、今村健一、大竹幸則、岡島豊樹、須藤伸義、多田雅範、横井一江、悠雅彦
東京キララ社発行
ECMレーベル、40年間にリリースされたLP/CD/DVDを完全にカタログ化した、素晴らしくも気の遠くなる作業による生まれた一冊。ジャズファンのみならず、全ての音楽ファン必携。ちょっと老眼には字が小さいのがつらいが、それだけ多くの情報がつまっているということだ。高いけど一生ものです。
2011年1月3日
リアル・ブラジル音楽
Willie Whopper著
ヤマハミュージックメディア刊
ブラジル音楽ファンであれば、我々が好んで聴いている「ブラジル音楽」は、実はかの国では決してポピュラーではないことを知っているだろう。そんな我々の聴こうとしない、up to dateなブラジル音楽を含めて、本誌では丁寧に紹介してくれる。これを読んでさてそういう音楽を聴くか否かは別として、興味の対象として実に有益な情報を与えてくれる素晴らしい一冊。各項目が短くまとめられていて、非常に読みやすい。
ヤマハミュージックメディア刊
ブラジル音楽ファンであれば、我々が好んで聴いている「ブラジル音楽」は、実はかの国では決してポピュラーではないことを知っているだろう。そんな我々の聴こうとしない、up to dateなブラジル音楽を含めて、本誌では丁寧に紹介してくれる。これを読んでさてそういう音楽を聴くか否かは別として、興味の対象として実に有益な情報を与えてくれる素晴らしい一冊。各項目が短くまとめられていて、非常に読みやすい。
2010年1月21日
ナラ・レオン 美しきボサノヴァのミューズの真実
セルジオ・カブラル著
堀内隆志監修 荒井めぐみ訳
堀内隆志監修 荒井めぐみ訳
知性的な美しさが溢れ出る1人の女性の写真と極めてシンプルな題字、なんと潔よく魅力的な装丁なのだろうか。本書はもちろんこの写真の被写体である「ボサノヴァのミューズ」、ナラ・レオンの47年の生涯(1942-1989)を綴ったバイオグラフィーである。実際にナラの長年に渡る友人でもあったジャーナリスト/音楽評論家/作家のセルジオ・カブラルによって記されたもので、ブラジル本国では2001年に出版された。そして今回ナラ・レオンの没後20周年を記念して、堀内隆志さん監修、荒井めぐみさん訳のもとに、日本語版が出版された。
早熟な少女時代から、リオに生まれつつあった新しい音楽(ボサノヴァ)を主導して行く様子、ボサノヴァを離れイデオロギーに身を投じた時代、実質的亡命であったパリでの生活、ブラジルへの帰還、そして最晩年の病魔との戦いなど、波乱に富んだナラの生涯が丹念に描かれている。音楽家としての生涯みならず、女性としての私生活、1964年の軍事クーデター後の政治状況などを絡めた、詳細で愛情のこもったバイオグラフィーである。著者セルジオ・カブラルは、自身とナラ・レオンとの直接の交流により得た情報の他に、新聞記事などの膨大な資料や、数多くの関係者へのインタビュー、情報収集等から本書を書き上げたのだ。
日本のブラジル音楽ファンの多くは、「ボサノヴァはナラのアパートで誕生し、彼女こそがボサノヴァのミューズである」という話を、当然の事実と捉えている。それが真実であるか否かは、本書を読破した後の、個々の読者の解釈に委ねるべきであろう。しかし少なくとも才気溢れるナラが、音楽においては常に自分の感性に、行動においては己の理性に対して、頑固なまでに真摯に向き合っていた事は、この著作から明らかである。それは結果として、音楽的方向性の変遷として表現されることにもなり、それ故の紆余曲折や、守旧的な人々との摩擦も無論有ったようだ。しかし改めてブラジル大衆音楽において彼女の果たした役割の大きさを感じずにはいられない。
巻末には丁寧なディスコグラフィーが添えられている。が、さらに本文中にはナラのオリジナルアルバム全てについて、物語の流れの中でその背景を含めた記述が為されている。そのアルバムの生まれた時代的背景や、彼女自身の私的状況、各々の作品あるいは曲の持つ意味合いとを複合的に知る事で、今まで見えなかったものまでが見えて来る。もう一度ナラのすべてのアルバムを聴き直さずにはいられない。(月刊ラティーナ誌、2010年2月号)
2009年10月17日
ALTERNATIVE ADVERTISING FOR SHISEIDO - Works of Kazuhiko Ota
太田 和彦著、求龍堂刊
前項の、山ブラ特別会員太田和彦さんが、1970~80年代にかけて、資生堂の雑誌広告シリーズにのこした異色の広告をまとめた作品集。実験的で斬新で、そして人間的です。時代を超えた刺激に満ちています。デザインや広告を職業とするものでなくても十分に実に興味深い1冊。ブラジル音楽とは勿論関係ありません。またまた恐縮です。
前項の、山ブラ特別会員太田和彦さんが、1970~80年代にかけて、資生堂の雑誌広告シリーズにのこした異色の広告をまとめた作品集。実験的で斬新で、そして人間的です。時代を超えた刺激に満ちています。デザインや広告を職業とするものでなくても十分に実に興味深い1冊。ブラジル音楽とは勿論関係ありません。またまた恐縮です。
2009年10月15日
太田和彦の「今夜は家呑み」
2009年9月5日
Brasil X Japan
2009年8月30日
Music Magazine増刊 アルバム・ランキング・ベスト200
ミュージック・マガジン2009年9月号増刊
老舗音楽雑誌「ミュージック・マガジン」が、創刊40周年を記念して、1969-2008までの、オールジャンル・ベストを選出。Brasilものとしては、49位にJorge Benの"Africa Brasil"、54位にCaetano Velosoの"Fina Estampa Ao Vivo"、64位にCaetano Velosoの"Livro"、69位にCartolaの第2集、166位にMarisa Monteで"Memorias, cronicas e declaracoes de amor"、192位に"Encontros com a valha guarda"がランクされています。
2009年2月9日
ブエノスアイレス 雑貨と文化の旅手帖
2009年1月31日
Brasilian Music
2009年1月25日
ネオ・トロピカリア|ブラジルの創造力
東京都現代美術館編 エスクァイア マガジン ジャパン刊
本書は、2008年10月22日から、本年1月12日まで、東京都現代美術館で開催された「ネオ・トロピカリア-ブラジルの創造力」展の公式カタログである。「トロピカリア」革命とは、1960年代後半にブラジルで起こったカルチャー革命である。音楽界においては、カエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジル、トン・ゼーなどがこのムーブメントを牽引した。が、その動きは音楽界のみに留まらず、美術、建築、文学、演劇など多岐にわたり、総合的な芸術革命へと発展した。運動の根幹をなすコンセプトは、ブラジルの伝統的な芸術を再認識し、尊重しつつも、同時代的な欧米の文化を積極的に取り込み吸収し、それによりブラジルの文化をよりユニバーサルなものへと「アップデート」(本書巻頭のジルベルト・ジルのインタビューより)することを意図したものだった。また、「ネオ・トロピカリア」とは、90年代以降の、トロピカリアのコンセプトを引き継ぐ芸術家達の動向であり、いわばトロピカリアの末裔たちと、その芸術を指し示すものといえる。本展覧会では、「トロピカリア」というムーブメントの呼称を産み出す源となった、エリオ・オイシチカの作品を始めとする、「トロピカリア」の時代のアーティストの作品と、それ以降の「ネオ・トロピカリア」のアーティスト達、言わば現代ブラジル・カルチャーを代表する計28組のアーティストの作品が展示された。絵画、造形、建築、写真など、表現形式は様々であるが、ヴィヴィットで大胆な色彩や造形は、日本人的「想像力」の範疇を超えるブラジル的「創造力」を感じさせ、生命力と多様性に富んだ素晴らしい展覧会であった。本書は、その展覧会の公式カタログであるが、元ブラジル文化大臣ジルベルト・ジルのインタビューから始まり、トロピカリア、ネオ・トロピカリアの時代的背景と解説、そして各々の作家のプロフィールと、その作品が順に掲載されている。さらに注目のブラジリアン・モードについての解説や、中原仁氏によるトロピカリア・ディスク・ガイド20までもが収められ ている。展覧会に行く機会を得た者にとっては、知識の補完として極めて有用な図録であり、残念ながら実際の展覧会に行く機会に恵まれなかった者にとっても、現代のブラジル・カルチャーを知る上で重要な情報源となり得るものである。なお、2009年1月24日から3月1日まで、広島市現代美術館で巡回展が行われる。お近くの方は是非この機会に。(本原稿は月刊ラティーナ誌2009年2月号に使用しました。)
本書は、2008年10月22日から、本年1月12日まで、東京都現代美術館で開催された「ネオ・トロピカリア-ブラジルの創造力」展の公式カタログである。「トロピカリア」革命とは、1960年代後半にブラジルで起こったカルチャー革命である。音楽界においては、カエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジル、トン・ゼーなどがこのムーブメントを牽引した。が、その動きは音楽界のみに留まらず、美術、建築、文学、演劇など多岐にわたり、総合的な芸術革命へと発展した。運動の根幹をなすコンセプトは、ブラジルの伝統的な芸術を再認識し、尊重しつつも、同時代的な欧米の文化を積極的に取り込み吸収し、それによりブラジルの文化をよりユニバーサルなものへと「アップデート」(本書巻頭のジルベルト・ジルのインタビューより)することを意図したものだった。また、「ネオ・トロピカリア」とは、90年代以降の、トロピカリアのコンセプトを引き継ぐ芸術家達の動向であり、いわばトロピカリアの末裔たちと、その芸術を指し示すものといえる。本展覧会では、「トロピカリア」というムーブメントの呼称を産み出す源となった、エリオ・オイシチカの作品を始めとする、「トロピカリア」の時代のアーティストの作品と、それ以降の「ネオ・トロピカリア」のアーティスト達、言わば現代ブラジル・カルチャーを代表する計28組のアーティストの作品が展示された。絵画、造形、建築、写真など、表現形式は様々であるが、ヴィヴィットで大胆な色彩や造形は、日本人的「想像力」の範疇を超えるブラジル的「創造力」を感じさせ、生命力と多様性に富んだ素晴らしい展覧会であった。本書は、その展覧会の公式カタログであるが、元ブラジル文化大臣ジルベルト・ジルのインタビューから始まり、トロピカリア、ネオ・トロピカリアの時代的背景と解説、そして各々の作家のプロフィールと、その作品が順に掲載されている。さらに注目のブラジリアン・モードについての解説や、中原仁氏によるトロピカリア・ディスク・ガイド20までもが収められ ている。展覧会に行く機会を得た者にとっては、知識の補完として極めて有用な図録であり、残念ながら実際の展覧会に行く機会に恵まれなかった者にとっても、現代のブラジル・カルチャーを知る上で重要な情報源となり得るものである。なお、2009年1月24日から3月1日まで、広島市現代美術館で巡回展が行われる。お近くの方は是非この機会に。(本原稿は月刊ラティーナ誌2009年2月号に使用しました。)
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